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そして今日も生きていく【R18】

第10章 ペンダント


樹輝(幼少期)said

「ただいまー」

「お父さん!お帰りなさい!」

僕はお仕事から帰ってきたお父さんに抱きつく。
いい臭い。
お父さんは凄くやさしくて、カッコイイ。
僕も大きくなったらお父さんみたいになりたい。

「ただいま、樹輝。今日もいい子にしてたか?」

「うん!」

お父さんが頭を撫でてくれる。
大きくて暖かい手。
安心する。

いつもみたいにテーブルを囲んでご飯を3人で食べる。
こんな毎日がずっと続いて欲しい。











「樹輝っ!」

「ん?……お父さん?」

まだ外が暗い。
時計の針は短い針が1番上を向いている。

「樹輝、よく聞け。これから何があっても声を出すな。怖くなったらこうやって耳に手を当てるんだ。いいな?」

「うん……分かった。」

何か外がうるさい気がする。

「じゃあ、樹輝、目を瞑って。」

僕は言う通りに目を瞑る。
あれ?何か温かい?
なんだろ。

「もう開けていいぞ。これからはお母さんの言うことをしっかり聞くんだ。いいね?」

「……お父さんはどこ行くの?」

「………お仕事。すぐ帰ってくるから。」

お父さんはそう言ったけど……帰ってこない気がする。
もう会えない気がする。
でも、言うこと聞かなきゃ。

「うん……絶対だよ?帰ってきてね。」

「……お父さんは嘘ついたことないだろ?約束だ。」

そして、僕の頭を優しく撫でる。
お母さんは悲しそうな顔をしていた。

ドォーン!

急に玄関の方で凄い音がした。

「な、なに?……ねぇ、お母さん、お父さん。なに?」

お父さんは何も言わず立ち上がり、部屋を出ていった。
その瞬間、騒がしい音が鳴り響いた。
拳銃の音だ。
そして、僕は見てしまった。
少し開いたままの扉からお父さんが血だらけで倒れる姿を。
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