第10章 ペンダント
そして、数ヶ月が経った。
無事、子供が産まれたのは同時だった。
女性の能力は直ぐに2人の子供に半分ずつ受け継がれた。
だが、彼から能力が消えることは無かった。
彼は数ヶ月ぶりに会う奥さんの元へ急いだ。
奥さんは男の子を抱き抱えていた。
その男の子が「樹輝」……
普通の男の子として産まれた。
能力者として生まれてこなかったことがなりより嬉しかった。
周りに怯えながら暮らす自分のようにはなって欲しくなかった。
いつ何処で狙われてるか分からない能力者……
息子である樹輝は伸び伸びと暮らせるだろうと2人は信じていた。
樹輝も普通の男の子として元気に育った。
感情そのままに表情が変わる子だった。
何より、2人は樹輝の笑顔に幸せを感じていた。
だが、そんな幸せも4年で悲劇に変わった。