第10章 ペンダント
晃said
俺が颯太さんの腕の中で目を覚ましてから1週間以上が経った。
樹輝先輩はあれからまだ目を覚まさないらしい。
あの日、樹輝先輩に何があったのかは知らない。
目が覚めて気がついた時には既に眠っていた。
その日は颯太さんは俺の家に泊まった。
けど、様子が変だった。
いつもなら俺がベタベタすると嫌がるのに、颯太さんから抱きついてきた。
力強く抱きしめられた。
抱きしめ返すと震えてるのが分かった。
何かを恐れていた?そんな感じがした。
颯太さんはここ最近、元気がない。
一応笑顔は見せるけど、無理してる。
多分、樹輝先輩だ。
敢えて先輩の事は触れないようにはしている。
さらに苦しめるから。
颯太さんに触れることも減らした。
そんな気分になれないだろうし。
「颯太さん?聞いてます?」
「あ?……あぁごめん。聞いてなかった。何?」
「……いえ……いいです。」
けど、何か耐えらんない。
俺以外の人の事考えてるとか。
独占欲強いって思われるかもしれないけど……
でも何かやだ。
「あの!颯太さん!?ちょっといいですか?!」
「……なに?」
「そんなに樹輝先輩の事気になりますか?!俺が隣にいる時くらい、忘れてくださいよ!他の奴とか……考えないでください!俺だけ……俺だけを見てください!」
「……お前……何言って……」
はっ!ついつい怒鳴ってしまった……
どうしよ……
颯太さんが表情を暗くして黙り込んでしまった。
「ご、ごめんなさい!俺っ!ついっ!」
パシンッ!
「っ?」
左頬に一瞬痛みが走った。
痛みは一瞬だったけど熱を長く感じた。
颯太さんからビンタされた。
颯太さん……泣いてる……いや、起こってる?
顔が真っ赤だ。
「っ!お前なんか……大ッ嫌いだ!!いっくんは……俺の大事な……友達……それなのに……そんな風に言うなんて……大ッ嫌いだ!!」
「っ!颯太さん!」
俺の部屋から走って出て行ってしまった。
……怒らせてしまった……
確かに俺最低だよな。
あんな事……
何やってんだ……俺……
その後、颯太さんに電話したけど中々繋がらず、次の日もその次の日もずっと無視された。