第10章 ペンダント
樹輝said
「さぁ、こっちに来なさい。じゃないと……」
俺の方に銃を突きつける。
「コイツが死ぬよ?」
この男……目が本気だ。
ヒカルはかなりビビって訳が分からなくなっている。
「イツキは……駄目……」
「ヒカルっ!俺はっいいから逃げろ!」
「でも体が動かない……何かビリビリして……」
クソっ!ヒカルも動けなくなっているのか……
どうしたら……っ!将樹は?
アイツは?
まだ戦っている。
どんだけ人数来てるんだよ……
「やっ!離して!」
「ヒカル!」
しまった!
「ん……かいどう?んぐっ!」
悪いタイミングで颯太が目を覚まし、海堂が慌てて口を塞ぐ。
「?あれ、ソイツも能力者ですか?今日はツイてる(笑)」
男は他の奴らを呼び、颯太を連れていこうとする。
「何すんだよ!離せ!」
「やめろ!」
海堂が必死に止めるが頭を殴られ気を失ってしまった。
「くそっ!てめぇら誰だ!」
颯太は抵抗し、火を出そうと目を光らせるが直ぐに輝きを失う。
「なんで……力が……」
「この手袋にはちょっと細工されていてね。無能石が使われているんだ。これに触れている間は君達は能力が使えないんだよ。」
「そんな……」
無能石……?
「やだっ!離して!イツキ!!」
「暴れるな、もう痺れが取れたのか?」
そう言えば俺も痺れが……今なら!
そう思い立ち上がろうとしたが……
ドゴッ!
頭を何かで殴られた。
「君もしつこいね。」
頭が痛い。
「っ!イツキ!!」
バンッ!!
何だ……何が起きた?
意識が朦朧とする中ヒカルの方を見ると頭から血を流し気を失っていた。
頭を……撃たれた……のか?
……嘘だろ……
ヒカルの意識を感じない。
ヒカルの痛みも感情も何も感じない。
俺の中の何かが無くなった様な……
そんな感じがした。