第1章 青と黄色の少年
樹輝side
「オッドアイ……」
「ご、ごめん……気持ち悪いよね……皆これ見ると怖がるんだ。だから片方だけ伸ばしたままにしてた。」
「……そんな事ねぇよ。」
俺は黄色に光る瞳をのぞき込む。
「綺麗な目してるじゃねぇか。俺から言わせれば羨ましいよ。」
ヒカルの驚いている顔を無視し、頭を洗い上げた。
服は俺のを貸す事にした。
やっぱり少し大きいか。
ウエストがあっていないし、Tシャツは丈が長すぎる。
オッドアイの事について気になっていた。
日本人でオッドアイは珍しい……
義眼か?
「ヒカル、目のことについて聞いてもいいか?」
「……イイけど……ボクにもよく分からないんだ。ただ分かるのは……」
ヒカルは近くのハサミを見つけいきなり腕に刺した。
「うっ……くっ……」
「何やってんだ!?」
「いいから……見てて……」
ヒカルはハサミを抜き俺を真っ直ぐ見つめた。
すると、青色の目が急に輝き始めた。
それは少し不気味で……でも綺麗で……
腕を見ると、傷が治っていた。
「な……んだこれ……」
「……傷が治るんだ。ボクにもなんでこんなことになるのか分からなくて……たぶん、アソコではこの力があれば、不死身な体を作れると思ってボクの体を調べてたんだと思う。」
じゃあ、あの資料の写真は全部ヒカルって事か?
あれを全部……
「不死身って言っても痛みは分かるんだ。普通の人が感じる痛みと一緒。こんなんなら……死にたいって……何度も思った。もう死ぬほどの痛みを感じたくないって。こんな力持ってても気持ち悪がられるだけだし。……でも死ねないんだ。」
死ねない体……
人間からしたらそんな能力があれば誰でも欲しいと思うだろう。
俺だって思う……
そしたら毎日退屈じゃねぇだろうな。
「……きっと……イツキもそのうち思うよ……僕の事普通じゃないって……出会わなければ良かったって……」
ヒカルは寂しそうな顔で呟く。
出会わなければよかった?
俺は……ヒカルにずっと恋をしていたんだ。
出会わなければ言い訳……ないだろ……
ヒカルとの出会いにはきっと何か理由がある。
「あとね……こっちの目なんだけど……もう一つ力があるんだ……けど……これは……っ」
気がついたら俺はヒカルの唇にキスをしていた。