第1章 1
七海ちゃんが慌てて首を横に振る。
それから言いにくそうに口をモゴモゴとさせてから、口を開いた。
「・・・あの・・・アルバムの発売日は・・・私、仕事があるから地元にいるので・・・地元のCDショップで予約しちゃったんです・・・アルバム。・・・しかも限定版・・・」
「えぇ!?わざわざ!?」
「だって・・・・・・発売日に買いに行ったら、もう無くなってた、なんて嫌じゃないですか・・・・・・!!」
「・・・予約するなんてそんな・・・言ってくれたら、いくらでもあげるのに・・・」
「だ、だって、20日にスタジオに来れるとは限らないから・・・!!それに、発売日に聴きたいじゃないてすか!!」
必死に七海ちゃんが僕に向かって言う。
それからシュンと下を向いた。
「youさんから直接いただけるなんて・・・思ってませんでしたし・・・」
そう言って、七海ちゃんは更に項垂れた。