第1章 1
七海ちゃんに渡したアルバムは、もちろんDVD付きの限定版。
フォトショット付きの通常版も一緒に渡そうか迷ったんだけど、さすがに2枚はいらないよね、と考えて、限定版だけにしておいた。
───あ、別にDVD付きの限定版じゃなくても良かったんじゃ?っていうツッコミは無しね。
「是非、七海ちゃんに聴いてほしいんだ」
アルバムを見つめたままの七海ちゃんに言うと、七海ちゃんは僕を見てから、困ったように笑った。
「えっと・・・ありがとうございます・・・」
「ん?」
七海ちゃんの様子が気になった僕は、首を傾げながら訊いてみた。
「どうかした?」
「あ・・・いえ・・・」
七海ちゃんは言葉を濁す。
僕の中で、少しだけ不安が頭をもたげる。
「・・・・・・もしかして・・・迷惑だった・・・??」
「あ、そ、そういう訳じゃなくてっ・・・!!」