第19章 近過ぎたキミ④(及川徹)⚠兄✕妹R18⚠
「大丈夫?歩くの早かった?」
黙ったまま息を荒げてる姫凪に
声を掛けると
『なんで…こんな事…するんですか…?』
小さい声が足元に落ちて
小さい手は首筋の赤を抑えてる
「ん?言わないと分からない?
キミが好きだから」
シレッと応えるけど
心臓はバクバクいってる
顔を上げた姫凪の唇が
次に紡ぐ言葉は
聞かなくても分かるから
『私は嶋田さんなんか
好きじゃない!
なんで…放っといてくれないの…
止めて…下さい
迷惑なの!』
知ってるよ
お前が誰を好きかなんて
「でも、それは認められない事だ
姫凪ちゃんがいくら
及川を好きでも
及川にいくら愛されても
誰もキミ達を認めない」
だからこそ今、止めなきゃ
まだ日が浅いなら
戻れるだろ?
今戻れば
『認めて欲しいなんて
思ってない…!
二人で生きていく!
攫ってくれるの!
徹は…私を…攫ってくれるって
約束したの…』
その涙も
チャント乾くから
乾くまで俺が側で守るから
ごめんな?
俺を憎んでも良い
嫌うなら嫌えよ
それでも俺は
お前が好きだよ。