第16章 近過ぎたキミ(及川徹)⚠兄×妹R18⚠
「姫凪…」
低くて沈んだ
お兄ちゃんの声
徹の声が
終わりを紡がないように
『分かってる…よ?
ダメだもんね…
私と徹が…こんな事…
こんな気持ち…
分かってるのに…止まらない…
ゴメン…彼女になりたいとか
絶対言わない…
他の誰かの前では
チャント妹する
好きな子が出来たら邪魔しない
妹にチャント戻るから
…その時まで…は…
止めようなんて…言わないで…』
私は必死で縋り付く
「姫凪、オレも同じ気持ちだよ
止まらないよ
姫凪が好きなのを
止める事なんか出来ない
姫凪に好きな人が
出来るまでで良いから
オレに一番をちょうだい」
期限付きでも
未来が無くても
いつか離れてしまうかもでも
『良いの?』
「うん、姫凪が好き
今日は手を繋いで寝よう?」
今しか見えない
徹しか見えない
『嬉しい!
私も大好き!』
「シーッ…。聞こえちゃう。
内緒だよ…誰にも…。
…二人だけの秘密、ね?」
指越しのキスの向こうを
夢見て
「オヤスミ」
大好きな声に目を閉じた
少し冷えてしまった足先に
目を覚まして
近くにあるはずの温もりに
伸ばした手は空を切る
『お兄ちゃん……?』
寝ぼけた声で
温もりがあった場所を手で
探るとヒヤリと冷たい
え?居ない?
『夢オチ!?!』
ガバリと身を起こすと
徹の部屋で
徹の布団の上で
私の身体には徹の香りが移ってる