第75章 HIDE AND SEEK（影山飛雄）

そう言って
俺に向き直る国見
そして

躊躇わずガツっと頭の上に
落ちてくるゲンコツ

「…ってぇ…」

「ヤレって言ったし」

「加減ってモンがあんだろ！
岩泉さんのゲンコツくらい痛かった…」

痛さに任せて
国見の頭にも
同じくらいのゲンコツを落とそうと
振り上げた俺の手を

「お前は後」

国見が止めた

「なんだよ？！」

「仲直りして
二人で殴りに来い。
ま、そうなったら
殴られるより
ダメージでけぇけどな
じゃあ、そう言う事で」

掴んだ手を離し
歩いて行く国見

「お、おい…」

「悪かったな」

かけた声を遮って
そのまま足早に
去っていく背中

二人で来い…か。

その為には、だけど…

「戻ったら…どやされるよな…」

体育館を追われたのは
記憶に新しい
戻ると高確率でドヤされる
校門で待つ手もあるけど
部活終わりの先輩達に
絡まれる可能性も高い…

と、なれば…

「待つ…か」

自分の家から
離れて行く足。