第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
もう声もあげられず
首を振る私を
優しく一度だけ抱き締めて
離れた温もり
「悪いのは俺だ。
オマエは幸せになってくれ
ごめん…な」
幸せに、なんか…
なれない…よ
でも、そんな事
今更私が…
言えないよ…
閉まったドア
静かになった部屋
声を上げて泣いても
もう誰にも届かないのに
上がる声が止まらない
苦しくて
辛くて
痛くて
苦い
こんな事なら
出逢わなきゃ
結ばれなきゃ
良かったのかな…
何度も考える
タラレバに
何度も出る答えは
NO。
私は幸せだった
それは間違いない
出会えたのは
結ばれたのは
素敵な奇跡
もう戻れない
夢の様な…奇跡の日々…。
泣き終わるのを
待ってた様に鳴った携帯
画面に映るのは
影山くんからのメッセージ
一言”悪かった”と綴ってあった
[影山くんは悪くない]
返した文字に付く既読。
私の文字へ返事はないけど
[マネージャー止めるなよ
春高、連れて行くから]
切られなかった
細い糸