第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
背中を押されて玄関まで運ばれ
叔母さんはそそくさと
キッチンに入って行ってしまった
『は、い…』
扉を開けずに声を掛けると
「布施、俺!」
予想を裏切らない
影山くんの声
『今、開ける…』
開けて渡すだけ
それだけなのに
手が震えちゃう
もしかしたら
一緒にあの子も居るかも…
自転車貸すとか言ってたし
携帯受け取ったら
あの子の所に戻るとか…
グルグルする思考を振り切って
開いたドア
「悪い、布施」
『別に、平気』
目の前の大きな影を
直視出来ない
目を逸らしたまま
携帯を差し出すと
「どうした?気分悪いか?」
携帯を持つ手ごと
身体を引き寄せられ
コツンとオデコがぶつかる
「熱はなさそうだけど
また、体調悪くなったか?」
頬に手を滑らせ
甘く優しく囁く低い声
いつもなら舞い上がる所だけど
『平気、だから!離れて』
負の感情でイッパイの脳が
拒否をしろと身体に伝えてしまった