第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
仕方なく来た道を戻り
家に入る
"渡せた?"と呑気に聞いてくる叔母さんに
"居なかったよ"とだけ返して
携帯を握りしめたまま
部屋に入って
ベットに顔を埋めた
付き合ってたわけじゃない
好きだって言われたわけじゃないけど
少しは特別なんじゃないかって
思ってたのに…
私は単なる女友達の一人で
特別なのは
あの子だけだった
今にも落ちそうな涙を止める
着信音
鳴ってるのは影山くんの携帯?
ディスプレイを覗くと
【ナナ】
ナナ?
あの子の事、かな?
切れても切れても鳴る着信音に
『もしもし』
渋々出ると
〈スンマセン!携帯落として…〉
焦った影山くんの声
『あ、あの…』
〈今、どこスか?
すぐ取りに行きます〉
焦ってるからか
私の声に気付かず
喋り続ける影山くん
〈飛雄~繋がった?
取りに行くなら
自転車貸そうか?
疲れてるでしょ〉
後ろからする甘い声に
胸が掻きむしられる