第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
一瞬浮かんだ躊躇
ソレは
『…うん。
運動部は無理だけど体育は平気だし
日常生活には支障ないよ?
だから、平気…』
「そうか、良かったな」
『うん、バレー部の
マネージャーになったら
好きなバレーも見れるしね!』
俺にしてはよくやった
「そうだな
連れっててやるよ
春高」
『え?春高…!?』
「おぅ、優勝する」
迷い無く言い切った俺に
『…うん!期待してる!』
初めて気を許して笑った気がした
布施の笑顔に
俺の心は更に
布施に囚われてしまった
好きが溢れて止まらなくて
でもどう伝えたら良いかも
分からなくて
「なぁ、また来て良いか?」
『あ、うん…影山くんさえ
良ければ…』
「じゃあ、来る。
お前と居ると…楽しい」
こんなあやふやな
約束した取り付けられず
この日は終わった
布施が時折見せる
戸惑いの意味も
それでも俺が来るのを
拒まなかった意味も
分からないまま
自分の気持ちだけを
押し付けようとしてた
伝えなきゃ伝わらない
そんな事も分からなかった