第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
ゴクリと鳴る喉
さっき吹っ飛んだはずの邪が
脳内に返り咲いて来るのが分かる
「布施…」
そっと伸ばした手で
細い肩に触れ
頸に吸い寄せられる様に
くっついて髪の毛に顔を埋める
髪の毛からは
微かに甘いシャンプーの香りと
バレー部で馴染みの深い
制汗スプレーの匂いが混ざって
鼻をくすぐる
『ちょ、待って!
汗かいてるから!』
「うげっ!」
急にあげた頭が
ゴチンと俺のオデコにぶつかる
『わぁあ!ごめんなさい!
えっと、冷たいタオル!
冷えピタもあったはず!』
鈍い音と俺の呻き声で
慌てた布施が
俺から距離を取ろうとしたのを
「大丈夫だ」
思わず引き止め
「こうしてれば治る」
オデコ同士をくっつける
『え、え、えぇ!?』
一瞬大きく見開かれた目は
恥ずかしそうにキョロキョロ動き
くっついたオデコは
お互いの熱で熱くなって行く