第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
布施の家は知らないけど
同じ北川第一出身なら
然程遠くはないはずだ
最大のチャンスだろ
"俺が送ります"って言え!
ほら、早く!!
「あの、俺が…」
「北川出身なら影山と家
近いんじゃねーの?
影山送ってやれば?」
やっと絞り出した声に
重なる日向の声
「被んなボケ!
日向ボケェ!」
俺がやっと言おうとした事を
こんなアッサリ!
なんなんだよ、こいつは!!
イライラして日向を睨むと
「そ、そんなに嫌なのかよ
冷たい奴だな…
じゃあ、おれが送ろうか?
家、どこ?」
まさかの展開に発展してしまう
『え?日向、くん…?
大丈夫…ホント全然…』
「だめだって。
もう暗いし女子だし
ほら、行こう!
チャリ乗ってく?」
目を丸くする俺の前から
日向と布施が去っていく
手を取られた布施が
アワアワしながら泳がした視線が
俺に流れて来て
遠くなって行く
「日向ァ!!待てコラ!」