第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
すると
『はい、ありがとう御座います』
さっき去って行ったアイツの姿
「布施!?」
「うわぁ!影山!ごめん、ミスった!
じゃ、なくてイキナリ
大声出すなよ!
それに俺は布施じゃなくて…」
「お前に言ってねぇわ、ボケ」
「なにおぅ!?」
突っかかって来る
日向を無視して
小さな影に目を凝らす
間違いなく布施だ
でも何で男子バレー部に?
新入部員?まさかな。
考えても分かりっこないのに
占領されていく頭の中に
「影山、練習中に集中しなさいよ」
ズシッと掛かった
手のひらの重み
「あ、スンマセン…」
主将の澤村さんに頭を下げると
「後で紹介の時間を設けるから
話はその時にな」
特にそれ以上怒ることも無く
「再開するぞ」
パチンと手が叩かれた
気を取り直して
進められる練習
集中してても
どこかで気になる
布施の存在を
必死に無視して
ボールを追いかけた