第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
あの窓から物音が聞こえたって事は
三人が居るのはリビングだろう
スタスタとリビングに続く
ドアに向かう足
さっきしたような気がした物音は
もう全然してなくて
思ったより静かだ
俺の勘違い?
でもあの二人がいる事は
間違い無くて
「…あ、れ?
マジに取るなって…なぁ?」
「おぅ…ここは
"徹が悪いんだもん!"とか
突っぱねて良いトコだべ~?
無理矢理ヤッたの及川だし…」
何かあったのも
『…ううん…私も悪い…
徹…に悪い事しちゃ…った…』
間違い無いよね?
涙声の姫凪と
「うわぁ!ウソ!ごめん!!
泣かしたいわけじゃなくて!」
「そうそう!なんつーか
開き直れるくらい
及川相手に強くなれって
言いたかったわけで……!」
焦った二人の声
泣かされてる?
『そんなの無理ぃ…
今更どんな顔して
開き直るのよ…もう、許してくれない…よ』
なにやってんのさ。
いや、姫凪じゃなくて俺が。