第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
インターホンを押そうとして
また躊躇してしまう
三人は居るんだろうか?
もし、誰も居なかったら
もしくは…姫凪一人だったら…
戸惑った一瞬で頭を巡る弱気を
中から聞こえた物音が遮る
やっぱり居る!?
インターホンにまた伸ばす手
あと数センチ伸ばせば
音が中に鳴り響く
押すぞ…押す…ぞ?
”………!!”
”……!”
なんだ?
中から言い争う声しない??
何を喋ってるかは
分からないけど
微かでも聞こえるって事は
結構深刻なんじゃない!?
喧嘩…は、ないか。
だとしたら…
「抵抗!?
ヤバイじゃん!!
助けなきゃ!!」
インターホン押してて間に合う?
ワンチャン開いてるんじゃない?!
伸ばした手を引っ込め
門扉を抜けてドアノブに
手をかけ思いっきり引くと
「開いた!」
あっさり開いたドア
目に飛び込んで来る
大きな二つの靴に
ソワソワする気持ちは増す一方
まさかとか思うけど…
あの二人が狼になってたり?!