第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
私の声を遮る
徹の低い声
そして
「しかもこんなカッコで
のこのこ出て来るなんてさ
襲ってくれって
言ってるようなモンじゃない?」
私の腕を引いて
リビングのソファーの上に
押し倒す
『徹…?』
「もし、ここに居たのが
俺じゃなくて
他のオトコだったら
どうなってたと思う?」
鋭い視線を降らせて来る
分かってる
私が悪いのも
"ゴメンナサイ"の一言で
きっと徹は
"バーカ"って言って
笑ってくれるのも
それなのに
『べ…つに!
平気だもん…!
大声出して暴れて
逃げるから!』
唇は素直に動かない
「は?何言ってんの?」
『徹に助けて貰わなくても
平気って言ってんの!
な、なによ!徹なんて!
大体何しに来たのよ!』
憎まれ口ばかりが
スラスラと溢れて
「…それは、本気?」
徹の顔から
表情を消していく
『だったら?』
「…だったら、ね。
余計な事したみたいだから
帰るよ、俺」