第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
取り返しの付けようがない
失礼さ加減に凹む俺に
「気にしないでってば
これでもう忘れないでしょ?
私は三浦サクラ
今度は忘れないでね?
及川徹くん」
白い手を伸ばしてくる
サクラちゃん
初対面の記憶ないとか
勿体無い事したな
結構可愛い子じゃないか
「あぁ…それは、もう…
流石に忘れないよ
…で?なんだっけ?
俺に用事??」
「え!?いや…あの…
今度の練習試合を
見に行こうと思ったんだけど
場所が分からなくて…」
「あぁ、そうなんだ?
Lineしてる?
後で場所の地図送ってあげようか?」
「そ、そうしてもらえると助かる!」
キラキラした顔で
携帯を差し出し
登録を確認し合ってると
『…慣れてるね、徹…』
冷めた声が
俺の背中にぶつかった
「まぁねー!
及川さんモテるもーん
…なんちゃって、冗…談
って、姫凪どうしたのさ?
気分悪い??」
振り返ると
暗い顔して俺を見上げてる姫凪
さっきまで笑ってたはずなのに
何その顔?