第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
「姫凪さん!
待って下さい!」
『ダメダメ!
今日はコンテスト当日なんだから
朝はシない!』
「ちょ、バカッ!違いますよ!」
あの日から
何事も無かったかのように
いつも通りの日々が
戻って数日
今日は姫凪さんの
コンテスト当日だ
『え?違うの?
京治今日はお休みなのに
ヤケに早起きして来たから
もしかして、と思ったんだけど…』
そりゃ自分が休みの日は
昼近くまで寝ていますが
彼女の晴れ舞台の日まで
そうだと思われてたなら
心外だな。
些か不機嫌になりつつも
「頑張って来てたのは知ってますし
今から頑張るのも知ってます
こういうのが気休めなのも…
でも、たまには良いでしょう
…ハイ、これ。
御守り用意しておいたんです」
姫凪さんの小さな手に
シンプルな紙袋を手渡す
『御守りをわざわざこんな
包装したの?』
「そうですね
まぁ、とりあえず開けてみて下さい」