第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
俺と向き合いジャレつきながら
嬉しそうに
目を瞑りキスを繰り返す
少女の様なその仕草に微笑み
俺も目を閉じキスを返すと
さっき記憶した
幼い笑顔が
また瞼の裏に現れる
「あ、また映った
これなら離れていても
寂しくないですね」
"昼間"という意味で
言ったつもりだったんだけだ
『…離れないでよ…
なんでそんな事言うの?』
はしゃいだ声から一転
泣きそうな声が耳に入り
慌てて目を開ける
「姫凪さん?
離れてって言うのは
昼間、って意味で…!
ほら仕事中とか
俺がバイト中とか
どうしても会えない時間が
あるでしょう?
そういう事を
言ってるのであって…!」
目の前の
小さな子供の様な顔を
覗き込み
宥める言葉を必死に掛けていると
『…ブッフォッ!』
涙目と思った
ソコは細く歪み
『その顔も記憶したー!
嫌な事があったら思い出すね!』
涙顔が悪戯な笑みに変わる