第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
繋がれた手は
いつもより暖かくて
少し汗の匂いもして
必死に走って来たのが
言わなくても伝わって
顔の締りがドンドン無くなってくる
「姫凪さん?
仕事で疲れましたか?」
『今日は暇だったし
そんな事ないよ
食べすぎて太りそう…だなって』
「その後いっぱい動くから
太れませんよ」
ただでさえ締まりのない顔が
更に緩む京治の発言に
『…エッチ!
また抱き潰す気なの!?』
私の調子もカナリ戻って来た
「抱かれない気なんですか?
抱かれたくない?」
優しい口調なのに
男らしく迫る京治が好き
『…そんなわけないじゃん
ヤキモチ妬いてるから
離してあげないもん』
「ヤキモチ妬かれる様な事
してませんよ
昼間のアレだって
向こうが勝手に押し掛けて来た
だけなんですから
俺の瞳には
姫凪さんだけ映す仕様に
なってるんですからね」
なんの迷いもなく
照れくさい事も真っ直ぐ伝えてくれる
京治が好き
全く、私ってば
何をモヤモヤしてたんだか。
何も変わってないじゃない?