第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
やっぱり心地よいな…京治の声は。
もっと聞いてたい
私からも甘えたいけど
耳に伝わる昼休み終了間近を告げる
アラームのバイブ
学生時代ならきっとサボって
京治に会いに走ってたけど
『分かった…連絡する
じゃあ、仕事に戻るから…』
もうそんな事してられないもんね
もっと早く素直になってれば
良かったと悔みつつ
この時間の終わりを伝える
耳から離しかけた電話から
〈姫凪さん!
あの…俺…姫凪さんだけですから
好き…ですよ〉
京治の声が聞こえる
グッと熱くなる心臓
今すぐ会いたくなった気持ちを
必死に抑えて
〈…私も。
じゃあ、また…!〉
通話を切って仕事に戻る
さっきより遅く時間が経つ気がするのは
早めに取ってしまった
昼休みのせいでも
予約が少なくて暇なせいでもなく
京治に早く会いたいから
「姫凪ちゃんお疲れ様
今日はどうする?
自主練する?」
閉店後の雑用を済ませ
マッキーが
カラーの練習の準備をしながら
声を掛けてくる