第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
いつも通り時間は進むけど
私の調子は元に戻らなくて
いつもなら楽しい
シャンプータイムの
お客さんとのお喋りも
先輩美容師が華麗に髪を切る
姿に自分の未来を重ねる時間も
なんだか重力が変わったみたいに
身体も心も重くて仕方ない
通常より少し予約客も
飛び込みも少なくて
まったりした正午前
「姫凪ちゃん
なんか疲れてる?
昨日はマッキーの代わりに一人で
奮闘してたもんねー
チョット元気ないよ
先に昼休憩入ったら?
マッキーも復活したし
なんか暇っぽいし
こっちは大丈夫よ?」
先輩が隠しきれてない
私の憂いを察して
昼休みを前倒しにする案を
出してくれた
チラリと時計を見ると
京治もそろそろご飯の時間だ
急げば一緒にご飯食べたり
話したり出来るかも…
会えるかもと思うと
ゲンキンに上がって行く気持ち
素直に好意に乗っかり
店を飛び出す
コンビニに入ろうとした所で
「あれ?姫凪??」
後ろから声を掛けられた
振り返った先に居たのは
宮くん…のどっちの方だ??!