第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
「アイツ…なんか最近何かにつけて
俺とのエッチ断ってくんねんもん
いや、最後にはヤルんやけど…な?
なーんか前みたいに積極的やないというか…
浮気でもしてんやろか…とか
考えたら…な?」
ゔーっと唸って
頭をゴンゴン机に打ち付けて
「赤葦はないか!?
なんでやんねん!って
思わず言いそうになりそうな事!」
俺にイキナリ掴みかかってくる
「いや、別にないな」
「なんでやねん!!
あんなエロそうな彼女おったら
不安ならんの!?
美容師とかイケメン多いんちゃうん!?
お客も小洒落たヤツとか!!」
どうやら俺を悩みの道連れにしたいらしい
…けど
「姫凪さんに限って
そんな心配皆無ですよ
エロいのは俺の前だけですし
イケメンが居ようが
小洒落たお客が来ようが
俺以外とどうにかなることなんかないし」
別に不安に思う事はないから
そうはいかないんだよな
残念ながら。
この時の俺は
本当にそう思ってたんだ
侑の不安が分からないわけじゃないけど
俺には無用の心配だって。