第72章 ♑瞳を閉じても（赤葦京治）

京治がどんな風に学生生活を送ってるとか
きっとモテテるだろうから
その辺どう躱してるのかとか
同じ大学の同期なら
きっと知ってるに違いない！

一人で盛り上がる私とは逆に
向こう側は無音しかない

『あ、京治！誤解しないでね！
話したいって言うのは…』

〈大丈夫ですよ。
とにかくそっち向かいますから〉

"もしかして"は
こういう時に限って
的中するのは何でだろう。

プツリと不機嫌な声と共に
切れた通話に
またも漏れる溜息

「幸せ逃げますよ～」

またも後ろに居たマッキーに
背中をスーッとなぞられ

「今度飲もうね？姫凪ちゃん
酒は憂いの玉箒ってな～」

ニコニコと笑いかけられる

『行かないってば！』

「約束したべ？
仕事場の飲み会くらい
どうって事ないって
なんなら京治クン？一緒でも
別に構わねぇから」

拒否をやんわり拒否られ

「彼氏迎えに来るんじゃねぇの？
誤解されそうな俺は
お先に失礼しまーす
あ、これ前に宮城から遊びに来た
後輩から貰ったオヤツの残りモン
これ食って元気だせ」

マッキーは去って行く
手に塩キャラメルだけを残して