第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
『死んだ…もう死んだよ、私』
日曜の忙しさに
身体が悲鳴を上げる閉店後
片付け、掃除、残ってるタオルの洗濯…
下っ端はやる事しかない…。
そしてそれが終わっても
「姫凪大丈夫?
顔色最悪…てゆっか
足腰ヤバくない?」
『足腰?そんなの随分前から
感覚ないよ…
さて。大体片付いたし…
はじめよっかな』
帰れるなんて
甘い現実は此処にはない
「姫凪今日はカラーリングだっけ?」
『うん。小麦粉の用意してくる…
あ、その前にトイレ』
即戦力になる為に
日々の個人練習は欠かせない
小麦粉を水に溶いて練って
塗り方の練習したり
ロット巻く練習したり
カットの練習したり
実践的な訓練は欠かせないのよね
『好きで目指した事だけど…
休みカモーン…』
トイレで溜息と小さな愚痴を流し
自主練の用意をしてると
「お疲れ~
姫凪ちゃんコレ使う?」
背中にぶつかった声
振り返ると綺麗にカラーリングされた
ピンク系の髪が揺れる