第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
「はぁ?そっちは電車だろ
俺だけタク…」
「一人も二人も一緒一緒
値段変わらんもん
つーか、6人とか乗られへんやん!
土地勘ない俺らが乗せてもらうから
赤葦と木兎クンは電車で!ほな!」
「おい、待て…宮…」
ほら見ろ、この図々しさ
間違いない。
絶対夜まで居る
宮ツインズに引き摺られる
佐久早を見送り
「…行きますか?木兎さん。
行っときますけど
夜は別行動ですよ
俺、姫凪さんを迎えに行く約束が…」
木兎さんに一応念押すけど…
「俺もタクシーが良かった!
セレブ感味わいたかったのにー!
宮ツインズぶっ潰ーーす!
赤葦!行くぞ!アイツらより
先に梟谷に乗り込んでやる!」
「いや、無理でしょう…
電車じゃ…」
「突撃だぁ!」
聞いてる気がしない
溜息を吐き切り
走る木兎さんを追いかけて
梟谷に向かった
梟谷排球部に着く前から
漂っていた暗雲は
待ち構えてたタクシー組の
纏まりのなさに更に濃くなりそうな予感。