第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
同じ大学に入った兵庫から来た
宮侑、治の双子は
春高で一緒になった仲とかなんとか
俺にやたら絡んで来るんだ。
俺に絡むだけならまだしも
そんな事この人に言ったら
言う予定が無かった弱音が
「俺にだって
悩みの一つや二つありますよ
特に最近は二人の時間が
あまりなくて…」
溢れてしまうじゃないか。
「だから朝っぱらから
誘ってんじゃねぇかよ
どうせ日曜休めねぇ姫凪に
振られてしょぼくれてると
思ってさー」
「振られてはいませんが…」
「みたいだな!
チャッカリ朝から盛りやがって!
ウラヤマシイ!!」
「恋人なんですから
当たり前じゃないですか」
照れ隠しに少し顔を背けると
「たまにスレ違ったり
時間が噛み合わなくなるのも
当たり前だ。
そんな気に病む事じゃねぇぞ
多少スレ違った位じゃ
何も変わらねぇのは
お前らが一番よく分かってんだろ?」
木兎さんに向けた耳に届いた言葉が
隠し切れない照れを連れて来る