第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
『京治…タオル…』
「まだ抜きたくない
繋がっていたいです」
愛液と混ざる精液
抜けば一気に溢れて落ちていく
それが寂しくて動けない
『うん、そうだね…』
「…ウソですよ
チャント離しますから
後少しだけ…」
余韻に浸りながらも弱々しく
時計を気にする姫凪さんを
もう一度強く抱き締め
タオルで溢れる欲を受け止めて
二人の情事の終わりを受け入れる
本当なら
処理しても次があるのに、なんて
欲張りはダメですよね
「動けますか?
タクシーは俺が呼んでおきますから
整えたら降りてきてくださいね」
『大丈夫、動けるよ
任せてごめんね?
スグ降りるから』
まだ色気の残る笑顔にグッと来てしまう
もう一回をなんとか抑えて
部屋を出て通りのタクシーを止めた
『京治、お待たせ
駅前経由で行ってもらおうか』
「店の前から俺が歩きますよ
店先まで一緒に居たい」
運転手さんに聞こえるのは
なんとなく恥ずかしいから
小さく耳打ち
姫凪さんの店を行き先に指定した