第70章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋⑥(宮侑 治)
囁いた言葉に
情けない顔しながらも
"嬉しい"と笑うサクラに
「泣かせてゴメンな
これから泣かせた分
イッパイ笑わせたるから
…側に居って、エエか?」
優しく口付けて
このまま…と、思ったら大間違えや。
「…ほんで?
なんで侑呼び出して
角名に口説かれとん?
しかも侑には弁当まで…!
お前の飯は俺が全部食うって
言うたやんけ!
サクラのアホタレ…
ヤキモチで死にそやん…」
俺かて言いたい事あんねんからな!!
口付けた唇を甘く噛んで
「…機嫌直してや。
メッチャふてくされてんで、俺!」
拗ねた顔をサクラに向けると
「…ブッフォッ!
治くん子供みたいやん…!
さっきまでカッコ良かったのに
イキナリ止めてやぁ…!」
涙で濡れ過ぎてた目元が
ぐにゃりと下がって
サクラが笑う
「どっちも俺やし
こんな俺も好きでおってくれるやろ?
サクラにしか見せんよ
…って、俺が妬くんサクラだけやから
当たり前やけどな」
涙の消えた目元に口付けると
真っ赤な顔で
"知っとるよ"ってまた笑う