第70章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋⑥(宮侑 治)
声の主に近付き
さり気なくチェックするも
サクラの影はない
まさかサクラに何かして
逃げられたから
追い掛けてるんじゃ…
「なんや、角名やん。
あ!お前…が
姫凪の居場所知ってるわけないか
スマン、急いでんねん」
…なんだ、違うのか…って!
姉を探してるって
サクラどこに置いて来たんだよ!
「あぁ、姉なら…」
"北さんと部室"
そう続ける間も与えず
「なんや!知ってんなら早よ言えや!
なにボーッとしとんねん!
どこや!姫凪どこ!?」
侑が俺を持ち上げる勢いで
掴みかかって揺らして来る
姉にこんなに必死になるって事は
サクラとなんかあったわけじゃないのか
でも、それにしては…
「この理不尽大王め
教えてやりたくなるよ、ホント」
サクラの匂い絡み付いてんだよ
ウラヤマか、クソ。
「な、なんやねん…
怖い顔し過ぎちゃうか?
知ってんねやったら
教えてくれ言うてるだけやんけ…」