第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
それに…
「姫凪」
『侑…あの…な…!
私…侑、が…!!』
「…なんやねん。
治の次は北さんて…
フラフラし過ぎやろ
男好きか、コラ…」
北さんの描くモン壊したなるんが
俺なんで。スンマセン。
ボール磨いてる北さんの身体が
カクンとズレた気がした事を
確認した刹那
『はぁ?!なんなんそれ!
私がいつ治くんや北さんに
フラフラしたんよ!
侑こそサクラに…スキ…言うてたくせに!』
姫凪が怒鳴った
俺の目シッカリと睨み付けて。
なんやろ。
怒られてるはずやのに
「したやんけ」
『してへんわ!
ずっと…侑しか…見てへん!
アホ…侑のアホ…!!』
全然甘くなんかないのに
「なんやねん!
チャント目ぇ見て喋れるやんけ!
…もう、目見んのも嫌なんかって
思ったやろがい…このアホ姫凪」
なぁに笑ってんねやろな、俺。
シッカリ交わる視線が嬉しくて
次に姫凪から返ってくる言葉が
久々に楽しみ過ぎた…のにっ!