第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
声に振り返った
その先には
『…邪魔…してゴメンな』
さっきより更に悲しい顔した
姫凪が俺とサクラを見つめてた
邪魔ってなんやねん
誰もそんなん言うてへんやんけ
なんで縋ってくれへんねん
俺はお前のなんやねん
なんでココで出て来るんが
『私…行くから!
あの…サクラ…
私…は、治くんとは何もないから。
治くんは何も…悪くない…から』
治の名前なんよ…なぁ、姫凪。
治を庇う姿は
勘違いされた事より辛いって
分からへん?
そんなんお互い様で笑い合うには
「ちょっと待って!姫凪?
私かって…」
『…ごめん、もう…無理』
オマエとの距離が
離れ過ぎたんかな
去って行く姫凪の背中を
呆然と見送る
やけに温かい弁当箱に
落ちそうになる涙
これで終わり?
もうアカンのか?
…アカンで、終わったら
「サクラ…ゴメン…
これ、貰われへん。
嬉しかったけど…スマンな
追い掛けるには
チョット荷物なるわ」
アカンよな?