第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
なんやねん出来てない。
付き合う前より傷付けてるやん
ダメダメやん、俺。
「サクラ…」
「スグに姫凪が
心から消えるなんか思ってないから」
笑う顔に無理がありそうには
思われへんのに
メッチャ苦しくなるのは
このサクラの優しい心に報いられる
自分じゃないのを
感じてるから
「治くん、手繋ごう?
ゆっくり行こう
急がんでエエよ、な?」
触れた手は暖かくて
ズキズキしてて気持ちを
包んで行く
エエんか?ホンマに。
こんな俺で…
不安が不安を呼んで
温かい気持ちなのに
重さばかり増していく
それでもサクラは
笑って俺の隣を歩く
そんなお前に
甘えてしまうなんて
男としてどうやねん。