第68章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋④(宮侑 治)
「サクラ…スマン。
チャント…する」
トイレの水を流す様に
気持ちも流れてくれたらエエのにな…
ため息を吐き切り
トイレを出ると
「大丈夫?
まだ顔色悪いで?」
サクラが声を掛けてきた
「…なんもあらへん
どないしてん?飯は?」
「姫凪が仕上げしてる
私は…」
スタスタと近寄って来たサクラが
「治くんに話があって…」
俺の手を握る
「な、なんや?」
真っ直ぐなサクラの目に
熱い手に
さっき姫凪に
目を奪われてた事への罪悪感が増し
思わず目を逸らす