第68章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋④(宮侑 治)
「…返事…少し先でエエ?
なんかパニックで…」
「…いつでもエエよ」
困らせるだけやったか?
そんな俺の思いを察したのか
「あのっ!気持ちが
嫌とかそんなんじゃないから!
それは違うから!
まだ、姫凪とも話てへんし
その…私も…考えてた事があってんけど
それを上回る現実と言うか…その…」
サクラの口が忙しなく回る
「そない必死にならんでも」
サクラの慌てっぷりに
クスリと零れる笑いより早く
「せやから…そんな
悲しそうな顔せんといて…
泣きそうな治くん見てたら
私も…泣きそうなる…」
サクラの手が俺の頬に触れた