第67章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋③(宮侑、宮治)
ドンドン苦しくなる胸
詰まっていく息
深い沼に溺れそうな私を
引き上げたのは
「ヤッパリここに居ったんか…
何かあったら呼べ言うたやろ
アホ姫凪」
侑の声と
「治の話、終わったんか?
てっきり泣いとる思ったのに…
お前…偉いな…泣かへんかったんか…?」
暖かい手と
「それとも…
泣かれへんのか?」
甘い香りやった。
撫でられた頭が
隣に座った侑の胸へグィッと
引き付けられる
え?胸?胸!?
『あ、侑!?
なにしてんねん!
離し!』
「嫌や。
抱きしめる為に
来たんやから」