第67章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋③(宮侑、宮治)
「…気持ちは分かるけど
ここに居ってくれ…
話が終わったらチャント離れる
約束するから…」
私の目を見つめる治くんの目
大好きで、ずっと映りたかった目が
浴びたかった視線が
…今は
「…おりこうさん
ありがとう、ここに居って、な?」
『分かった…』
痛くて辛い。
ソッと目を伏せ頷くと
肩を掴む手が離れ
治くんが隣に座り直す
制服同士が擦れて
熱がジワジワと移ってくる
でも…
私の耳に届く声は…
「姫凪…俺な。
サクラを…抱いた…」
私の細胞まで凍らせる程
熱のない淡々と冷えた声だった。