第65章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑、宮治)
解いた手をまた握られて
席に戻るたった数メートルの
エスコートに
失恋の痛みが少し和らいだ
夏の午後。
そこからも私のシツコイ恋は
今も継続中
同じ高校を受けて
毎日顔を合わせる
苦く長い付き合いは続いていた
変わらんのは
相変わらず恋愛ヘタレな
「姫凪、チャント前見い
怪我すんで?」
『あ、ありがとう…』
「おん」
姫凪と治くんだけやないし
「はいはい。
ん?サクラ行かんのか?」
「うん…私はエエわ…
先に言っといて
喉乾いたから
なんか買うて行くし…」
もちろん私の想いだけでもないねん。