第57章 ♡背中合わせの恋は今(瀬見英太)生誕記念 完結
いつもと同じくだらない会話を肴に
高いだけのお酒を飲んで
笑いたくないのに笑う時間を
なんとかこなして
初めてどこにも寄り道せずに
ドレスも着替えずコートだけ羽織って
自分の部屋に帰った
部屋の中は
私のお気に入りの香りに混じって
お酒の匂いと英太の匂いがする
『…居るわよ。
分かって帰って来たんじゃない』
部屋の電気をつけると
ソファーに放置された英太の姿
『…親友は認識違いかしら…?』
この寒いのに
毛布一枚掛かってない英太に近付き
『ちょっと、寝るならベットに
行きなさいよ
部屋の中だって結構寒いんだから』
グラグラと肩を揺らすけど
起きる気配は一切なし
仕方なく羽織ってたコートを掛け
暖房を入れ
冷えた身体を温めに
お風呂場へ行こうとした
その時
「…姫凪、行くな…」
腕が冷たい手で掴まれ
『はぁ!?起きてるなら
サッサと…きゃぁ!』
引き倒された
『ちょ、英太!
調子乗らな…』
「姫凪、妬いて悪かった
…だから…行くな…」
凄い力で痛さしかないのに
嫌って離れられない自分が憎い。