第57章 ♡背中合わせの恋は今(瀬見英太)生誕記念 完結
「マリカちゃん?
どうかした?顔色悪くない?」
悪いわよ
『え?そう?!
メイク崩れちゃったかなー?
チョットお手洗い行ってくるね
待っててね?帰ったら泣いちゃうから!』
メイクなんかじゃない事は
自分が一番よく分かってる
原因は…
『…あのバカ…
本当信じらんない…』
店の脇の道で蹲ってる
バカ男
店をコッソリ抜け出して
『なにやってんの?
サッサと帰りなさいよ』
「…ん…」
デカい図体で
お酒弱いくせにバカみたいに
濃いの飲んで潰れてる
瀬見英太に声を掛ける
『…英太、起きなよ
凍死したいの?』
揺すっても起きないし
タクシーもこの調子じゃ
乗車拒否されそう。
かと言って
私もまだ仕事中で
送るわけにも行かない
放置…なんてね。
出来るわけないじゃない
来るなって行ったのに
人の仕事場に来て
他の子とイチャイチャして
挙げ句の果てに
こんな困った状況作り上げてさ
ムカツクし
殴りたいけど
『アンタが死んだら
チョット…寂しいじゃない。
寝るなら家で寝なさいよ…』
私は、このバカ男が
好きなんだから…。
伝えてないし
伝える気もないし
伝わっても困るけど
想うのは自由じゃない?
ホント
『面倒なヤツ…』
厄介だよ。
恋なんてするもんじゃないわ。