第57章 ♡背中合わせの恋は今（瀬見英太）生誕記念　完結

［へぇー
若利ってバレー以外もするんだ意外！
どうだった？上手かった？］

［若利の話題に食いつきすぎ
妬けんですけど］

［ハイハイ。
じゃあまたLINEするわ
平日かもだから
超絶早起きしときなさいよ(笑)
仕事だから、行くね
バイバイ］

…スルースキルが過ぎるっての！！！

なーんて言えない
惚れた男の弱味かな

"頑張れ"と
一昔前に流行ったゆるキャラの
スタンプを送ると
既読スルー

…なんだよ
友達以上恋人未満じゃなくて
悪かったな

良いんだよ、今は。
恋だの愛だのは
俺だけで成立するもんじゃねぇし

光らなくなった通知ランプに
ため息を吐きかけ
残業を黙々と熟した

「瀬見！オツカレサン！
さぁ！行くぞ！
夜のネオンへ突入だー」

「はいッス！」

クタクタでナチュハイなテンションで
進めた足は

「…おふ…」

一気に勢いを失くす

「瀬見？どうした？
ほら、入れ入れ！」

マジカヨ…神様。
寄りによって

「藤沢様いらっしゃいませ
本日は…」

「俺はマリカちゃんで！
コイツは適当に！
こういう所慣れてないと思うから
スレてない子頼むね！」

姫凪の店とか
しかも姫凪指名だとー？！

持ってない。
確実に俺は持ってなかった。

そうだ俺は瀬見英太

持ってそうで
一番持ってないオトコ…