第55章 ♉わざと、の効果(孤爪研磨)生誕記念 完結
すると
『…いや…!
帰らない!研磨なんか…』
パシンと手が弾かれ
姫凪の唇が
グッと噤まれる
とっくにピークだった焦りは
おれの思考回路をぶった斬り
「その続きなに?
内容によっては…
声出せないくらいに
メチャクチャにするけど?」
尖った神経はザワザワと波打ち…
「姫凪ー!
黒尾くんから電話で
やっと孤爪がこっちに向かって…あれ?」
『光ちゃん!!
だめー!シーッ!!』
後から来た大波に飲み込まれる
「姫凪?」
『なによ!』
「待ってたの?おれが来るの
来るって分かってた?」
『待ってない!
分かってない!
不安だった!』
真っ赤な目で真っ赤な顔で
おれを睨む姫凪
半分ホントで半分ウソ
待ってたよね?
分かってたよね?
でも
「遅くなってごめんね?」
不安だったよね?