第42章 らしくないけどオマエだけ(照島遊児) 完結
布施 姫凪
初めて逢ったのは
1年前の俺の誕生日
運命的だと
俺は勝手に思ってた。
1年前の今日
「バレー興味あんの?」
俺は声を掛けたんだ
理由?特にない。
『え?』
「今日ここに来てるのは
見に来てるか
試合しに来てるか、だから!」
ただ、単純に好みだったから。
「おーい、ナンパ野郎!
アチコチ種蒔くなぁ!」
バレー部の仲間に冷やかされながらも
「違う違う!ナンパとかじゃねぇから!」
好みのその子の肩を抱く
『説得力ないけど…』
細い肩は俺から離れる為に動き
眉間には軽くシワが寄る
まぁ、こんなの慣れっこで
「いや、ホント!マジ!
本気と書いてマジ!
なぁ、この後ヒマ?
遊ぶべ?」
構わずグイグイ迫りながら
走り書きした
電話番号を押し付ける
『え、チョット待ってよ…』
「俺、今から試合だから
それ見て決めてくんね?
電話待ってるからな!」
紙を手に握ったのを確認して
「じゃあ、また!」
勝手な約束と
その子を置き去りに
試合会場に飛び込んだ