第5章 ♑愛されたがりの愛し方(黒尾鉄朗)クロの日 完結
陽射しはまだまだ強くて
今まで引きこもってた
身体が少しフラッと揺れる
空いてて快適な電車に揺られながら
梟谷の近くの駅に降り立った
『少し早ぅ着いたな…
暑…夏嫌いやわ…』
せっかく電車で冷えた身体に
不快な汗でジワリと滲む
そう言えば鉄朗を待つ事は
あんまり無かったな
いつも迎えに来てくれるし
待ち合わせしても
絶対早く来てくれるし
優し過ぎやろ
優し過ぎんでえぇから
他の子に優しくせんといてよ…
こんな事言うたら
きっと"重い"って
思われるんかな
もっと聞き分けエエ子が
良いって思われるかも…
『早う来て…ナナちゃん…
…どうしてエエか分からへん』