第21章 近過ぎたキミ⑥(及川徹)⚠兄×妹R18⚠
『お兄ちゃん…あの……』
「気を付けて」
徹は私の背中を押して
「姫凪、おいで」
マコちゃんは私に手を伸ばす
『…行ってきます…』
すれ違いざま
『ばか…』
思わず漏れる声に
返事はなくて
遠くなる気配だけが
背中に届いた
ばか…なんで居たの?
送り出す為なら……
酷いよ…徹…
ただの偶然だとか
そうしなきゃいけない状況だったとか
考えられる余地はいくらでもあったのに
狭くて暗いトンネルに居る様な
私には
徹の気持ちは見えなくて
「とりあえず車まで我慢しろ
思いっきり泣いて良いから」
マコちゃんの光に縋りついてしまった