第1章 *とっくに普通以上だったよ【国見英】
心臓の音がどんどんうるさくなっていく。
…こんなはずじゃなかったのに。
国見くんとただ、勉強するだけの予定だったのに。
どっかの誰かさんのせいで狂いまくりだ。
「前田、」
「んっ」
国見くんは私の唇に、あの、冷たい指を置いた。
…でもさっきより温かい。
「キスしてもいい?」
「えっ!?」
「俺のこと嫌いだったら拒否して。
でももし嫌じゃないなら…
この先、もう俺止まる気ないからね」
最後のその言葉を言う国見くんが、
本当に色っぽくて。
やっと今日初めて、
国見くんは男子なんだって気付かされた。
…どうしよう。
嫌なのか、嫌じゃないのか。
分かんない。
でも、国見くんのことは友達だと思って…
「……い、いよ」
違う。
とっくに友達じゃなくなってたんだ。
国見くんがもう、終わらせてたんだ。